送迎や家族旅行に人気の小型マイクロバス。
法事や結婚式、親子三世代、兄弟姉妹など家族ででかける旅行で小さいお子さん連れというのはよくあること。
そんな時、長時間、赤ちゃんを抱っこしたまま移動するというのは現実的ではありませんよね・・・(涙)。
事務局にも、「チャイルドシートを持ち込みたい」という問い合わせがよくありますが、実際に小型マイクロバスに取り付けることはできるのでしょうか?
今回は神奈川県横浜市にある貸切バス会社「シティアクセス」さんにご協力いただき、実際に取り付け実験を試みてきました!
取付実験車両は三菱ふそうのローザ(標準仕様のシート)。
チャイルドシートはコンビ製で、新生児対応ラクティアターンシリーズCV-ETY(現在では生産終了)を使用しました。
原則的にチャイルドシートは、三点式シートベルト(腰ベルトの左右と肩ベルトの3点で支えるタイプ)で装着するようになっています。
2012年7月に道路運送車両の保安基準(第22条の3 座席ベルト等)変更により、マイクロバスでは全席3点式シートベルト(法律上では第二種座席ベルト)であることが義務付けられています(三菱ふそうはドイツのダイムラー傘下のため、このヨーロッパ基準にいち早く対応)。
それ以前に製造されたタイプでは、客席側のシートベルトは2点式の可能性があります。
また、小型マイクロバス以外の小型観光バス、中型観光バス、大型観光バスの場合、一番前の座席以外は、現在でも腰ベルトの左右のみ、2点式シートベルトを採用しているメーカーがほとんど。
上記のような2点式シートベルトでは、取付できませんので、借りる前に3点式シートベルトであるかどうか、バス会社に必ず確認しましょう。
では、さっそく取り付けてみましょう!
ちなみにシティアクセスの方に、取付場所を伺ったところ、ドライバーさんの後ろの席がおススメとのこと。
乗用車でも同じですよね!運転手はとっさの場合、自分の安全を確保する回避行動をするので、その後ろの座席が最も安全といわれています。
ただ、横から追突される可能性を考えると、取付座席は通路側がいいのですが、お隣に座るご両親の出入りがちょっと不便・・・。今回はいったん窓側でセットしてみました。
チャイルドシートの取扱説明書を見ると、座面の奥行が40㎝未満の座席には取付できないとありますが、三菱ふそう・ローザの座面は41㎝あるのでOK。ちなみに座面の左右も45㎝あるのでクリア。
シートベルトを引き出し、チャイルドシート本体についているシートベルトを這わせるガイドに従って装着。取付手順は、各チャイルドシートごとに異なるので、必ず取扱説明書に従って行ってください。
こちらのタイプには肩のところにロックがついているので、シートベルトが伸び縮みしても、緩まないようになっています。
また、サポートレッグを締めたり、緩めたりすることで、チャイルドシートのぐらつきを軽減。実際にチャイルドシートを揺らしてみましたが、しっかり固定されていました!
シティアクセスさんのご厚意により、中型観光バスにも取り付けてみました。
車種は三菱ふそう・エアロエース ショートタイプMM。全長9mの中型観光バスです。
よっこらしょ~
中型観光バスでは運転席後ろの通路側に取り付けてみました。
手慣れた様子で取り付けてくださるシティアクセスNさん。実は、このチャイルドシートはNさんの私物。他のドライバーさんたちも見学にいらしていましたが、感心することしきり・・・。
自分で使用しているものでないとこうはいきません。
なので、チャイルドシートを貸切バスに持ち込む場合、担当のドライバーさんではわかりませんので、必ず、ご自身で取り付けするようにお願いします。
取付完了!
国産バスメーカーの標準的な中型観光バス、大型観光バスでは、いちばん前の座席のみが3点式シートベルト。必然的にドライバー席の後ろの4席のみに取り付け可能です。
こちらもゆすってみましたが、しっかりと固定されていました。
ちなみに、このコンビ新生児対応チャイルドシートでは、新生児期(体重7㎏以下の場合)は、進行方向に対して後ろ向きに装着します。
こちらも問題なくセット可能でした。
通常、レンタカー会社の場合、車を借りる際にチャイルドシートの貸し出しをしています(オプション料金)。
それは道路交通法(第71条の3第4項、令第26条の3の2)により、2000年4月から6歳未満の乳幼児にはチャイルドシートを使用することが義務付けられているから。
ところが、貸切バス・路線バス・高速バスについては、幼児を何人乗せるかどうかは事前にわからないため免除。
つまり、貸切バスで移動する場合「チャイルドシートの装着は義務付けられていない」ということ(使用しなくてもOK)。
また、座席が幼児専用になっている幼稚園バスの場合は構造上、取付できないため、免除されています。
このため、どこのバス会社もチャイルドシートの貸し出しを行っているところはまずないと思ってください。
もし、チャイルドシートが必要な場合は、事前にバス会社と相談し、自分たちが普段使っているものをあらかじめ取り付け可能かどうかを確認。可能であれば自分たちで持ち込むようにしましょう。
万が一、レンタルして持ち込む場合は、取り付けできない可能性があるということをご承知おきください。
レンタカー会社でマイクロバスを借り、自分たちで運転していく場合は、そのレンタカー会社でチャイルドシートを貸し出ししていると思いますので、事前に取り付け可能かどうかを聞き、OKであれば貸し出しを依頼しましょう。
正直、体力のない小さい赤ちゃんの場合、長時間小型マイクロバスに揺られて移動するのは大変疲れるものです(チャイルドシートの取扱説明書では1時間程度を目安に休憩をとることを推奨)。また、乗用車のように、赤ちゃんの体調に合わせて気軽に自由にサービスエリア等で休憩がとれるわけではありません。
どうしても赤ちゃん連れで出かけなければならないという事情であれば、小型マイクロバスとは別に自家用車を出し、赤ちゃんはそちらで移動することをおススメします。
●チャイルドシートは自分たちで持ち込む(もしくはレンタル手配)
●取り付け可能か事前にバス会社に確認
●座席への取付は自分たちで行う
■取材・撮影協力
シティアクセス株式会社
横浜市中区新山下3-8-45
【コンビ新生児対応ラクティアターンシリーズCV-ETYのサイズ】
W465×D625×H705mm(幌・サポートレッグ含まず)