
貸切バスの料金はこれまで、安全対策のためのコストを含めた料金が各エリア別に上限~下限まで国土交通省が公示(2014年4月1日)。それに基づき、各バス会社が運輸局に届け出た単価に基づき、バスを走らせた「時間と距離」により算出してきました。
つまり、実際のバス料金は見積りを取らないと正確な料金が出せなかったわけです。しかしながら、下限~上限の料金目安がわかっていたので、なんとなくいくらぐらいかな、という目安はわかっていたかと思います。
ところが2023年6月27日に国土交通省から新しい「公示運賃額」が発表になり、最低基準額のみを公示することに。各バス会社はこの金額を下回らないように運輸局へ単価を決めて届け出ることになります。
つまり、最も安いバス料金はわかるものの、実際の料金はいくらなのか、バス会社ごとに単価が異なるため、複数の見積りを取って比べないと損をしてしまうかもしれないんです!
貸切バス料金が変更になったいきさつについて簡単にご紹介していきましょう。

2014年4月からスタートした新しい「貸切バス運賃・料金制度」。利用者の安全にかかわる費用を適切に反映するために導入されたものです。
各運輸局ごとに時間と距離の単価を下限~上限まで定め、各バス会社が運輸局に単価を届け出てバス料金を算出するという仕組み。バスを走らせた【距離×単価】+【時間×単価】で利用料金が決まっていました。
しかし、今回日本バス協会がバス事業者から取ったアンケート結果によると、ハイシーズンであっても基準額以下で契約している例が約7割、通常期では約9割が基準額を下回っていたことが判明しました。
円安や物価高、ガソリンの値段高騰、深刻なドライバー不足という社会情勢もあり、原価ラインを割り込んでしまうような運行状況がこのまま続けば、バス会社が営業を続けられなくなる恐れがあります。
そこで、国土交通省では2015年より「貸切バス運賃・料金制度ワーキンググループ」フォローアップ会合を重ね、2023年6月27日に「新公示運賃額」を発表。最低基準額のみを公示する方式に変更しました。
バス会社はこれを下回らないよう、各運輸局に単価を決めて届け出る(9月下旬以降に適用)ことで、社会情勢やニーズに応じた価格設定、経営を圧迫せずにしっかり利益を確保できる料金制度にブラッシュアップしていくことができます。
なお、「新公示運賃額」については現在の経済状況や経営状況を踏まえた金額に見直し。エリアにもよりますが、10~22%ほど値上がりをしました。
その後、実際の運用に基づき、2024年の原価を対象に2025年9月26日(金)に公示運賃の見直し(7~8%ほどの値上げ)が発表されました。新しい公示運賃の適用は遅くとも11月1日(土)から適用になりますのでご注意ください。
(参照元:国土交通省ホームページ「貸切バス運賃・料金制度ワーキンググループ」フォローアップ会合より)
9月26日(金)に発表された「新公示運賃額」に基づき、各バス会社が運輸局に単価を届け出れば、11月1日(土)よりも前倒しで運用が可能。遅くとも11月1日(土)には新運賃が適用されます。
いま見積りを取り寄せて検討中、という団体・グループはご注意ください。また、すでに契約済であればその金額で運行可能なのでご安心ください。
キャンセル料は利用日の14日前からかかり始まるので、まずは予約してしまうことです。

貸切バス料金は走らせた距離と時間で計算するものなので、実際の利用方法で料金は変わってきます。また、バス会社からバスを乗降する場所までの「回送代」も含めて計算するので、出発場所から近いバス会社に依頼した方が安いというのは今後も変わりません。
しかし、上限額という縛りがなくなってしまった今、距離と時間の「単価」は、バス会社の経営状況・社会情勢により決められます。今回の値上げは不足しているバス運転手を確保するための措置。
正直、物価高が続いている今、高くなることはあっても安くなることはないでしょう。
「どのバス会社も同じような料金かと思っていたら、全然違ってびっくり」という声が続出。複数のバス会社から見積りを取り寄せて、しっかり比較しないと損をしてしまうことになります。
もちろん、貸切バスの利用は料金だけで決められるものではありません。
安全対策への取り組み姿勢(セーフティバスの有無など)や担当者との相性(相談しやすい、誠実さを感じるなど)、口コミの評価など、さまざまな要因がバス会社選定の決め手になることでしょう。
「マイクロバス牧場」では、1回の問合せで複数のバス会社から見積りを取り寄せできるとても便利なサービス。ぜひ、上手に活用して楽しくて快適なバス旅行を実現してくださいね。